目覚め(第3章) −ねふぇさん 目覚め(第3章 再び目を覚ますと痛みはだいぶ引いていた。 おかげで体を起こして周囲を見渡すことが出来た。 部屋には窓はないし、たいした広さでもない。 ただ、あまりに殺風景な部屋だ。 入り口からは光が射し込み、その明るさから朝であることが判断できる。 ベッドの横には小さな椅子があり、その位置の近さに少し驚く。 娘はこちらを向いて、背もたれの上に手を乗せ、その上に顔を乗せてスヤスヤ眠っている。 「ドキッ」っとするほど可愛らしい寝顔だ。 ずっとこちらを見ていたんだろうか? そんなことも考える。 痛みの変わりに喉が乾いてたまらない。 何か飲まして欲しいものだが、その寝顔をもう少し眺めていたい気にもなる。 だが、やはり水が欲しい。 しょうがなしに娘に声をかけるが、起きない。 少し手をのばし、肩をゆすると娘はすぐに目を覚ました。 「すまない、起こしてしまって・・・。実は頼みたいことがあるのだが、いいか?」 と聞くと。 「ふにゃ?ふ〜ん・・・。なに?」 こんなに眠そうな顔は今まで見たことがあっただろうか?過去の事が思い出せない自分でありながら思う。 「水を・・・くれないか?」 少し反省しつつこう聞くと、娘は急にシャキっとして答えた。 「ん?あっ!やっと喋ったね!」 嬉しそうだ・・・。が確かにそうだ。そんな気は全く無かったのだがな・・・。 「あぁ・・・そうだな。」 「あっ水だったね。じゃあ、取ってくるよ。まだ動いちゃダメだよ。」 娘は小走りで部屋から出ていった。 かすかにバイオリンの音が聞こえる・・・。 |