盗賊王VS奇術師(前編) −幻影旅行さん 盗賊王VS奇術師(前編) 男は今、約束の場所へ向かっていた。その場所とはヨークシンシティから西へ500kmほど離れた所にある、深い山中だった。男は急がなくても約束の時間に十分間に合う事を確認して、ゆっくりと歩を進めていった。 男がその場所に辿り着いた時には、既に2人の先客が到着していた。 そして男が2人の元に歩いて行くと、そのうちの1人が男に話しかけてきた。 「やぁクロロ★結構早かったね♪もうちょっとかかるかと思ってたよ◆」 「・・・お前は気まぐれだからな。時間に遅れて契約を反故にされるのは敵わんだけの事だ・・・・ところで、ヒソカ。そちらが例の・・・?」 そう言ってクロロと呼ばれた男は、もう一方の人物へ注意を向けた。 ヒソカ(以下ヒ)「そう言えば自己紹介がまだだったね◇紹介するよ◆君のその忌わしい念をこれから除去してくれる除念師・・・アベンガネだ☆」 アベンガネ(以下ア)「アベンガネだ・・・よろしく」 クロロ(以下ク)「クロロ=ルシルフルだ・・・今日はこちらこそよろしく頼む。除念代金はそちらの言い値でかまわない。いくらでも好きな額を言ってくれ。」 ア「そうだな・・・では前金で250億ジェニー、術後の成功報酬で250億ジェニーの計500億ジェニーという事で・・・かまわないか?」 ク「・・・・いいだろう。了解した。」 そしてクロロはアベンガネの口座に250億ジェニーの前金を携帯電話から振り込んだ。無事に前金を受理した事を確認したアベンガネは、早速除念の準備に取り掛かった。その様子を間近で見ながら、クロロとヒソカはただ静かに時が過ぎるのを待った・・・・・・ ヒ「これは・・・ちょっと予想外だったねぇ・・・」 ク「俺はこれでも闘れん事はないが・・・どうする?」 ヒ「う〜〜〜ん・・・・・僕としてはできればベストコンディションの君と闘りあいたいんだけどねぇ・・・」 ク「そうか・・・」 その後除念は一応、無事に成功した。鎖野郎ことクラピカの{律する小指の鎖}の効果も見事に消失した。ところが・・・ ア「すまない。私がヒソカに私の除念スタイルをしっかり伝えていなかったせいだ。申し訳ない・・・」 そう。ヒソカはアベンガネの除念能力は、対象者に掛けられた念を根本から完全に消し去ってくれる能力だと思い込んでいた(その為いちいち能力の確認をしなかった)だからアベンガネのクロロへの除念が終わった後に、焚き木の中から出現した異物がクロロに取り付いた時、ヒソカは心底驚愕し・・・そして落胆した。またしてもクロロとの決闘がお預けになってしまった事に。 その異物は例えて言えば、人間の女性の様な風貌だった。そして布の様な体でそれがクロロの周りにぴったりと張り付いて離れそうにもなかった。 ア「異物を除去するには2つの方法がある、1つはその念を仕掛けた能力者を殺害する事、そしてもう1つはその能力者がその念を掛けた時に決めた{解除行動}を行う事。この2つのうちどちらかを実行する事で異物は完全に消失する。」 ヒ「う〜〜〜ん・・・・そうは言ってもねぇ・・・鎖野郎の所在はすぐには掴めないだろうし・・もう1つの{解除行動}に至っては、そもそも設定していたかどうかも怪しいしねぇ・・・・」 ク「何か、もっと確実な方法は無いのか?」 ア「ある事はある。が・・・・少々時間がかかってしまうのだが・・・」 ク「どんな方法だ?」 ア「うむ。まず、森全体の精霊エネルギーを使用する為の{儀式}を執り行う。今日やった除念の段取りを更に形式化させた様なものだ。具体的には、森中のありとあらゆる木々を集め、それに{神字}を施す。そしてその木々で儀式を執り行う為の櫓を組むのだ。ただし、この作業は除念師ただ1人だけで行わなければならない。その為非常に時間がかかってしまう・・・というわけだ。」 ク「なるほど。ちなみに今から取り掛かるとしてどれぐらいの日数が掛かる?」 ア「そうだな・・俺の体力なら・・大体一月弱といったところだな。」 ク「・・・・だそうだ。ヒソカ、お前はどうする?俺は別に一月待っても構わんが・・・」 ヒ「・・・そうだね◆鎖野郎を探すにしろ、解除行動を見つけるにしろどっちも同じかそれ以上の時間が掛かるわけだし・・・うん☆僕も一月待つ事にするよ★」 ア「わかった。元々情報を正確に伝え損ねた俺にも責任があるしな。早急に取り掛かるとしよう。君達はその間どこかでヒマを潰していてくれ。」 ヒ「(ヒマ潰しか・・・・・・・・・あっ!ちょーど良かった☆あそこでデートの為の小道具を揃えてくるとするか★)」 ク「(一月あれば、前から気になっていた{あの能力者}の能力を奪取できる時間は十分にある・・・ヒソカ対策に用意しておくのも悪くないな・・・)」 そしてヒソカとクロロはいずこかへと姿を消した・・・・・・・・・ |